白楊ポプラア)” の例文
しかも処々に散見する白楊ポプラアの立樹は、いかに深くこの幽鬱ゆううつな落葉樹が水郷の土と空気とに親しみを持っているかを語っている。
松江印象記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
他の両方はこんもりとした白楊ポプラアの林に遮られて、中央の小高い所には音楽堂のような六角形の小亭パヴィリオンが建てられて居ます。
金色の死 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そこにはうす暗い空と水との間に、濡れた黄土おうどの色をしたあしが、白楊ポプラアが、無花果いちじゅくが、自然それ自身を見るような凄じい勢いで生きている。………
沼地 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
その時白楊ポプラア並木なみきの根がたに、尿ねうをしやんだ一頭の犬は、これも其処そこへ来かかつた、仲間の尨犬むくいぬに話しかけた。
LOS CAPRICHOS (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
その上不思議な事にこの画家は、蓊鬱おううつたる草木を描きながら、一刷毛ひとはけも緑の色を使っていない。あし白楊ポプラア無花果いちじゅくいろどるものは、どこを見ても濁った黄色きいろである。
沼地 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)