白木綿しらゆう)” の例文
と見ると往来には人気ひとけなく、あおあおと光がみなぎっている。月光の中に立っているのは、白木綿しらゆうのような真っ白の人物。余りに身長みたけが高いので、仰ぎ見なければならなかった。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
この短歌の意味は、相坂おうさか(逢坂)山を越えて、淡海おうみの湖水の見えるところに来ると、白木綿しらゆうで作った花のように白い浪が立っている、というので、大きい流動的な調子で歌っている。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
その人々の頭の上、二尺あまりもグンとぬきんで、巨大な白木綿しらゆうが歩いていた。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
元正げんしょう天皇、養老七年夏五月芳野離宮に行幸あった時、従駕の笠金村かさのかなむらが作った長歌の反歌である。「白木綿」はたえかじ(穀桑楮)の皮から作った白布、その白木綿しらゆうの如くに水の流れ落つる状態である。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)