登楼とうろう)” の例文
旧字:登樓
登楼とうろうして、おいらんと二人でぐっすり眠って、そうして朝まで、「ひょんな事」も「妙な縁」も何も無く、もちろんそれゆえ「恋愛」も何も起らず
チャンス (新字新仮名) / 太宰治(著)
私は少しく心許ない気もされたが、登楼とうろうした。こうして私は彼女を知った。可愛いという言葉は必ずしもいつわりではなかった。私は彼女の細い眼や低い鼻に親しみを惹きだされた。
朴歯の下駄 (新字新仮名) / 小山清(著)
僕は登楼とうろうない。為ないけれども、僕が一度ひとたび奮発して楼に登れば、君達の百倍被待もてて見せよう。君等のようなソンナ野暮な事をするならして仕舞しまえ。ドウセ登楼などの出来そうながらでない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)