発祥はっしょう)” の例文
けれど、鎌倉と聞けば、源氏発祥はっしょうの地——坂東武士の心の故郷——天嶮てんけんの地勢——民心はかえってそこの新鮮な土の香と、次の建設をたくましく想像した。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
石州半紙せきしゅうはんし」とか単に「石州」とかいう名は、どんな紙漉かみすきの本にも出て来るでしょう。もともと日本の抄紙の歴史を見ますと、この石見が発祥はっしょうの地かと考えられます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
黙々もくもく先生は歴史の進行とともに地理を展開させた、神武じんむ以来大和やまと発祥はっしょうの地になっている、そこで先生は大和の地理を教える、同時に大和に活躍した人物の伝記や逸話等を教える。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
祖先発祥はっしょう功名歴代忘れてならぬ土地です。
わけても三河の地は吉良発祥はっしょうの領土で、祖先代々の領民もあれば代官所もあり、当然、国元詰くにもとづめもいるわけだった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鎌倉は源氏発祥はっしょうの地と申してもよい。——後冷泉院の御宇ぎょう安倍貞任さだとうを討ちしずめられた後、祖先源頼義朝臣あそんは、相模守となって鎌倉に居を構えられた。——長子の陸奥守むつのかみ義家朝臣もおられた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
仏法渡来までの日本には、仏教はなかったのでありますし、神は日本とともに、その発祥はっしょう建国けんこくから御柱みはしらとしてあるものでありますから、どこまでも、神祭は国教であり、仏祠ぶっしは民教であるというふうに
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)