申候もうしそうろう)” の例文
「道雄は最後の息を引取る間際まで、父の名も母の名も呼ばず、ただあなた様の御手紙を抱きしめ、あなた様のお名前のみ呼び続け申候もうしそうろう
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
それゆえ事の面倒にならぬうちわが身一つに罪を背負って死出の旅路をこころざ申候もうしそうろう。何とぞのち回向えこうをたのむとあった。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
御ゆっくりと御休息の上、明日より御出社相願度あいねがいたく委細はその節を期し申候もうしそうろう
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
むり押しつけに入れておいた借用申候もうしそうろう一札之事いっさつのことという証文であった。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
この間二年あまり相たち申候もうしそうろう。歌枕の今夜の逢曳あいびき
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)