田鶴たず)” の例文
「ま! クロを仕止めましたな! もうこれまでじゃ、お家にあだなす悪人ばら、村井信濃しなのが娘、田鶴たずがお相手いたしまする。お覚悟なされませい!」
奴国の月は田鶴たずのように冠物かぶりものを冠っている。爾は奴国の月を眺めて、我とともに山蟹やまがにかりとをくらえ。奴国の山蟹は赤い卵をはらんでいる。爾は赤い卵を食え。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
その精誠に至りては、天もまた泣くべし。「かくとしも知らでや去年こぞのこの頃は君をら行く田鶴たずにたとえし」
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
昨夜は、庭の池にたくさん田鶴たずが降りましたようですね。もう霜が来るでしょうか。そうそう、眠られぬまま、一首ものしました。眠らるる時しなければ蘆田鶴あしたずの、見ずの羽音を聞き明かすかも
うすゆき抄 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)