“田舟”の読み方と例文
読み方割合
たぶね100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
水だらけの子供を十人ばかり乗せ、櫓台の下へ田舟たぶねを漕ぎ近づけて、材木屋の貝原が、大声を挙げた。飛騨訛ひだなまりがそう不自然でなく東京弁に馴致じゅんちされた言葉つきである。
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
流の幅は大分ひろく、田舟たぶねの朽ちたまま浮んでいるのも二、三艘に及んでいる。一際ひときわこんもりと生茂おいしげった林の間から寺の大きな屋根と納骨堂らしい二層の塔が聳えている。
葛飾土産 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そういって木部は川べのあしを分けてしばらく姿を隠していたが、やがて小さな田舟たぶねに乗って竿さおをさして現われて来た。その時葉子は木部が釣り道具を持っていないのに気がついた。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)