独言ひとりごち)” の例文
旧字:獨言
せたげても頓着とんじゃくせず、何とか絶えず独言ひとりごちつつ鉄葉ブリキ洋燈ランプ火屋ほや無しの裸火、赤黒き光を放つと同時に開眸かいぼう一見、三吉慄然りつぜんとして「娑婆しゃばじゃねえ。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
独言ひとりごちつゝ大鞆は此署を立去りしが定めし宿所にやかえりけん扨も此日のまさに暮んとする頃の谷間田は手拭にて太き首の汗を
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
独言ひとりごちつつ月もあかしの町外れを、一歩は高く一歩は低く、ひよろりひよろりと来かかる男、煮染めたやうな豆絞りの手拭、だらしなく肩に打掛けて、仕事着の半纏も、紺といはれしは
磯馴松 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)