狐狗狸こっくり)” の例文
卓子テエブルさん(卓をたゝく)ことにお前さんはあしで、狐狗狸こっくりさん、其のまゝだもの。きてるも同じだと思ふから、つい、お話をしたんだわ。
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
名古屋、岐阜をはじめ尾濃びのういたるところ、当春来一時流行せしものは、その称を狐狗狸こっくりまた御傾おかたぶきと名づくるものなり。
妖怪玄談 (新字新仮名) / 井上円了(著)
ところへ主人また非常の辛抱もて四年間仕込んだので、一問出るごとに馬が狐狗狸こっくり然と蹄で土をたたいてその数で答える。
そのあとで狐狗狸こっくりさんが来た。
暗号あいずが出来ると、いつも奥様がおっしゃるもんだから、——卓子さん(卓をたたく)殊にお前さんは三ツ脚で、狐狗狸こっくりさん、そのままだもの。
紅玉 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
(前略)座中の一人盆に向かい、よびて曰く、「狐狗狸こっくりよ、狐狗狸よ、なんじの座をここに設けたり。速やかに来たれ」と。
妖怪玄談 (新字新仮名) / 井上円了(著)
その今日まで、地方の書信の机上に堆積たいせきせるもの幾百通なるを知らずといえども、そのうち昨今、都鄙とひの別なく、上下ともに喋々ちょうちょうするものは狐狗狸こっくりの一怪事なり。
妖怪玄談 (新字新仮名) / 井上円了(著)