牽付ひきつ)” の例文
蒼白い——が妙に人を牽付ひきつける顔、乳の上で縛った荒縄など、極めて変態的ながら、たとえようもない艶美なものだったのです。
恥かしそうに私のお乳を飲まして欲しいなぞとわたくしに面と向って言うほど牽付ひきつけられるものを感じていながら、その反対の所作に堕ちてしまうなぞ
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
そう言われるとどこかで見たことのあるような、——美しいというよりは、愛くるしい、聡明そうな顔立ちが人を牽付ひきつけます。
あれだけ虚無の魅力に牽付ひきつけられた疲れた人間が、なかなか文学や説明や詩で蘇らせられようとは思えなかった。そこで三度目のフロウナウ町行きとなった。
褐色の求道 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
それにしても、不思議に人を牽付ひきつける美しさでした。大して綺麗というのではありませんが、——これは多分、娘の純情的な性格からくる美しさかも知れません。
一生懸命、そむける眼が、ツイお今のむごたらしい死骸に牽付ひきつけられる様子です。
メラ/\と絡みさうになる仕掛の焔の凄まじさ、亂れ/\た髮、蒼白い——が妙に人を牽付ひきつける顏、乳の上で絞つた荒繩など、極めて變態的ながら、たとへやうもない艶美なものだつたのです。
聴衆は完全に牽付ひきつけられました。