物色うかが)” の例文
夜目には縁も欄干らんかん物色うかがわれず、ただその映出うつしだした処だけは、たとえば行燈の枠のげたのが、朱塗しゅぬりであろう……と思われるほど定かに分る。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
門を出づる時、屠犬児いぬころしが、「姉御あんまりだ。」「ひどいじゃねえか。」とその気色を物色うかがえば、自若として、「なにまだ、あんな目に逢わせるのが二三人あるよ。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)