物気立ものけだ)” の例文
あたりが俄に物気立ものけだつかと見る間もなく、吹落る疾風に葭簀よしずや何かの倒れる音がして、紙屑と塵芥ごみとが物ののように道の上を走って行く。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
手代は主人あるじの寝所に通って何やら密談にふけったのち門外に待たせた辻駕籠に乗って再び何処いずこへか飛び去ってしまったが、それからというもの偐紫楼の家の内はにわか物気立ものけだって
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)