物柔ものやはら)” の例文
黒あばたで思ひ切つてみにくい男ですが、その代り物柔ものやはらかで腰が低くて、丈夫さうで、典型的な頼母しい奉公人です。
「お孃さん、ねむれさう?」ベシーがどうやら物柔ものやはらかな調子でいた。
かへしけるに與八はあんに相違し大いにこまはてしが其儘そのまゝにも爲難なしがたければ早速さつそくに源八の方へいたり日頃は物柔ものやはらかなる娘故わけもなく出來樣できやうと存ぜしが大きな間違まちがひにて斯々の次第まことに御氣の毒千萬といひながら文を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なるほど、この物柔ものやはらかな美少年は、老人が身體を揉ませるには、丁度手頃なのかも知れせません。
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
金があつて情け深くて、人柄がおだやかで、これが昔、人斬庖丁を二本、腰にブラ提げて、肩で風を切つた人とは、どうしても受取れないほどの物柔ものやはらかな中老人だつたのです。