牡丹屋ぼたんや)” の例文
牡丹屋ぼたんやの裏二階からは、廊下のひさしに近く枝をさし延べているしいこずえが見える。寛斎はその静かな廊下に出て、ひとりで手をもんだ。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
私はパリに行っていわゆるハイカイ詩人の一団と牡丹屋ぼたんやという日本人の経営している料理屋で会ったことがありました。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
牡丹屋ぼたんやという夏の間学生達を泊めていた大きな宿のあった事を思い出して、それへ問合わせて見ると、いつでも来てくれと云って寄したので、四月の初め
菜穂子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
二人ふたりはやはり以前と同じ道筋を取って、江戸両国の十一屋泊まりで、旧暦四月にはいってから神奈川の牡丹屋ぼたんやに着いた。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
おえふの生れた家、牡丹屋ぼたんやは、もとはこの宿の本陣だつた。
ふるさとびと (旧字旧仮名) / 堀辰雄(著)
えゝ、お連れさまは中津川の万屋よろずやさんたちで。あれは横浜貿易の始まった年でした。あの時は神奈川かながわ牡丹屋ぼたんやへも手前どもから御案内いたしましたっけ。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
瑞見は蝦夷えぞから同行して来た供の男を連れて、寛斎にも牡丹屋ぼたんや亭主ていしゅにも別れを告げる時に言った。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
手前が喜多村瑞見きたむらずいけんというかたのお供をして、一度神奈川の牡丹屋ぼたんやにおたずねしたことがございました。青山さんは御存じないかもしれませんが、この喜多村先生がまた変わり物と来てる。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)