片跛かたちんば)” の例文
二十五六、大店おほだなの手代風ですが、餘程面くらつたものと見えて、履物はきもの片跛かたちんば、着物の前もろくに合つて居りません。
「アゲマキ」という貝は瀟洒な薄黄色のからのなかに、やはり薄黄色の帽子をつけた片跛かたちんばの人間そのままの姿をして滑稽にもセピア色の褌をしめた小さな而して美味な生物である。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
こんな小娘が片跛かたちんばの下駄をいて、六本木から神田まで驅けて來るといふのは、容易のことではありません。
銭形平次捕物控:180 罠 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
「あれは身投げなんかぢやないよ、お京さんの乳母うばのお淺といふ女さ。お孃さんが危いところへ行つたと知つて、下駄を片跛かたちんば穿いて本郷丸山から飛んで來たのさ」
後ろからガラッ八、これは下駄と草履を片跛かたちんばに履いて追っかけます。
後ろからガラツ八、これは下駄と草履を片跛かたちんばに穿いて追いかけます。