父親おや)” の例文
で、この方は政府で何かむつかしい問題が起ると、その場では意見を述べずに家に帰って来てそれから自分の父親おやのごとき前大臣に相談をするです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
父親おやは、そのころ、——実の父親か義理の父親であつたかよく記憶はしてはゐないが、——何れにしろ父親は釧路駅の従業員をしてゐて小奴とは別居して暮らしてゐた。
石川啄木と小奴 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
すると、あの三巨頭の誰かが、絹坊の隠し父親おやに違いないのである。一体誰がその父親であろう。
深夜の市長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
や、左様さうばかりも言へないでせう、現に高等学校に居る剛一と云ふ長男むすこの如きも、数々しば/\拙宅うちへ参りますが、実に有望の好青年です、父親おやの不義に慚愧ざんきする反撥力はんぱつりよくが非常にさかん
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
紅葉もみぢのやうな可愛かあいらしい手を出して、父親おやの足をさすつてります。