無代価ただ)” の例文
「それではたった一つお尋ね致します。それを答えて下さればこのお金は要りません。その品物はみんな無代価ただであげます」
豚吉とヒョロ子 (新字新仮名) / 夢野久作三鳥山人(著)
その多くは無代価ただで書物を貰はうとするけちてあひで「平素ふだんから貴君あなたを尊敬してゐる」とか、「御著作は欠かさず読んでゐるが、近頃手許が苦しくて買へないから」
「はい、はい、どうせ無代価ただで頂戴いたしますものでございます。めのさんのお魚は、現金にも月末つきずえにも、ついぞ、お代をお取り遊ばしたことはございません。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それほどの病気ならばこちらへ引取って介抱しとうなるのが人情。まさかに満月の身体からだ無代価ただで引取る訳には行くまいと仰言る、退引のっぴきならぬお話。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「これあ大変なお客様だ。折角無代価ただで乗ってもらおうと思っているのに、二人共乗れないとは困ったな」
豚吉とヒョロ子 (新字新仮名) / 夢野久作三鳥山人(著)