炊事場すいじば)” の例文
別天地の小生涯しょうせいがい川辺かわべ風呂ふろ炊事場すいじばを設け、林の蔭に便所をしつらい、麻縄あさなわを張って洗濯物をし、少しの空地あきちには青菜あおなまで出来て居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
夫人は炊事場すいじばのほうにでも行ったらしく、朝倉先生だけが、まだあたたまらないストーヴのそばの椅子にかけて、手帳に何か書き入れていた。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
大きなテーブルが一つと、いくつかの小さな椅子いす戸棚とだな炊事場すいじば……。マリイは横手の扉をあけて、次の部屋にトニイをひっぱっていきました。
街の少年 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
冬の朝など——まだ霜の白い地をふんで炊事場すいじばから三町もある法輪寺川へ、荷担にないに水桶をって水を汲みにゆく範宴のすがたが、よく河原に見えた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
明智探偵が借りている部屋は、浴室や、炊事場すいじばをべつにして、五間もあるのですが、そのいちばん奥まったところに、マユミさんの寝室がありました。
妖人ゴング (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)