滝夜叉たきやしゃ)” の例文
旧字:瀧夜叉
五目の師匠も近所なり、近い頃氷川様の祭礼おまつりに、踊屋台の、まさかどに、附きっきりで居てから以来、自から任じて、滝夜叉たきやしゃだから扱いにくい。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
中幕に嵯峨や御室の浄瑠璃がありましたが、九蔵の光国みつくにはほんのお附き合いという料簡で出ている。多賀之丞の滝夜叉たきやしゃは不出来、これは散散でしたよ。
半七捕物帳:60 青山の仇討 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
……ビスマクの首……グラドストンの首……かつて恋しかった女どもの首々……おやじの首……憎い友人どもの首……鬼女や滝夜叉たきやしゃの首……こんな物が順ぐりに
耽溺 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
滝夜叉たきやしゃが、すっかり恋にうちまかされ、相手にすがって、うっとりするときでも、どうも今にも懐中から刃ものが飛出しそうで、おれにゃあぶなくってならなかった
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
もうすっかり滝夜叉たきやしゃの出の支度をしていた雪之丞は、結び文を解いて一瞥いちべつしたが、この刹那せつな、彼の顔いろは、濃い舞台化粧の奥で、サーッと変ったように思われた。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
雪之丞は、そんな予感に、心を暗くしながら、滝夜叉たきやしゃの変身、清滝きよたきという遊女すがたになって、何本となく差したこうがいも重たげに、華麗な裲襠うちかけをまとい、三幕目の出をまっていた。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)