溲瓶しゅびん)” の例文
その上部屋の四隅へ溲瓶しゅびんを置いたが、無意識中における先生の意志はどうしても本に向って放尿せずには納まらない。
勉強記 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
おすぎはまたトシを背負って、町へ出かけて、差当って必要なもの、洗面器、溲瓶しゅびんほうきちりとりなどを買ってきた。
夕張の宿 (新字新仮名) / 小山清(著)
こういう茶を一びんこしらえますには三十八銭ぐらいかかるのでございます。その一罎というのはちょうど日本の溲瓶しゅびんの形になって居る土焼の茶瓶ちゃびん一つを言うのです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
と、小腰をかがめ、寝台の下に新聞紙に包んであった溲瓶しゅびんを取って、病人の毛布の間にし入れた。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
その隣りの寝台には、せこけた不精髯ぶしょうひげを生やした五十がらみの親爺おやじがいて、息子らしい若者が世話をしていた。おすぎは若者が溲瓶しゅびんをさげて部屋を出て行く姿をなんとなく目にとめた。
夕張の宿 (新字新仮名) / 小山清(著)