溜飮りういん)” の例文
新字:溜飲
溜飮りういんが下がりましたぜ、親分、鼬小僧の逃げるのを承知しながら三輪の萬七親分に縛らせなかつたのは、錢形の親分一世一代の皮肉だ」
笑ひ茸のたくらみなども、最初はたつて止めましたが、命に別條のないことだからと説きふせられて、私に一世一代の溜飮りういんを下げさせたのです
「井筒屋重兵衞は疝癪せんしやく溜飮りういん持だ。氣の毒だが金に不自由はなくなつても大福餅には縁がありませんよ。——淺ましいことに重兵衞は骨董こつとうり始めた」
傳馬町の大牢おほらうに叩き込むことが出來たら、三年越の溜飮りういんが一ぺんに下がるに違ひなかつたことでせう。
あらゆるお世辭、——齒の浮くやうな阿諛あゆを、法外な金で買つて、貫兵衞は溜飮りういんを下げました。
それから下女のお富にも逢つて見ましたが、この女はお妾が殺されて溜飮りういんをさげてゐますよ。
それでも權助は、強ひてあらがふ樣子もなく、一度に溜飮りういんを下げるとニヤリと人の好いも笑ひを殘して、元の座へ立ち去りました。平次はその後から娘を助けて跟いて行き乍ら
「なアに、用事つて程ぢやありませんが、一人で溜飮りういんを下げちや勿體ないと思ひましてね」
八五郎が財布を掏られるのと違つて、こいつは内々溜飮りういんを下げて居る奴が多いぜ。なア八
「輕少ながらお禮と、三方に載せて出した百兩の小判を押し返して、あつしは町方の御用聞だ、褒美や景物では仕事はしません。とポンと飛び出した時は、溜飮りういんが下がつたぜ、親分」
さぞ溜飮りういんが下がるだらうと思つただけのことですよ
「有難てえ、それで溜飮りういんが下るといふものだ」
溜飮りういんを下げようと思ひついたのでございます。
八五郎は少しばかり溜飮りういんを下げてをります。
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
ガラツ八は少しばかり溜飮りういんを下げました。
「どうだ八、溜飮りういんが下つたらう」
溜飮りういんが下がつたぜ、親分」