満更まんざ)” の例文
旧字:滿更
男の酔狂すいきょうを笑いながら、しかし、女も満更まんざら好奇心がない訳でなく、蝋燭のついた行燈を取って、男の手の上にさしつけてやるのであった。
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「ところで、我々の勝負だが、この場の形勢は一体どちらに勝目があると思うね。君も満更まんざら馬鹿ではないのだから、その位の目先は利く筈だが」
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
という様に、段々説明して見ると、私の疑いも満更まんざら無根の猜疑ばかりでなかったことが分るのである。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
君が僕に疑いをかけたのも、満更まんざら無理ではない様です。でも、それらの不思議な一致には、全く別の理由があったのですよ。アア、僕はもっと早くそれを君に打開ければよかった。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
今ではこの大賊とわしとは、満更まんざら他人でないのだ。イヤ、それどころか、わしの命が助かったのも彼のお蔭、こうして復讐事業に着手出来たのも、彼の盗みためた財宝があったればこそだ。
白髪鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
それが満更まんざら御世辞でない様に見えたのである。
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)