清五郎せいごろう)” の例文
案内の女中に、笑いながらそんなことを言っている声がきこえ、濶達な足音が近づいてきて、竹簀茣蓙たけすござを敷いた次の間へ入って来たのが、丸三、佐原屋清五郎せいごろう
顎十郎捕物帳:14 蕃拉布 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
×市、R銀行頭取、秀岡清五郎せいごろう、六三歳、K飛行場(Hの次のエア・ポオト)迄
旅客機事件 (新字新仮名) / 大庭武年(著)
古井戸の前には見るから汚らしい古手拭ふるてぬぐいが落ちて居た。私は昔水戸家みとけへ出入りしたとか云うかしら清五郎せいごろうに手を引かれて、生れて始めて、この古庭の片隅、古井戸のほとりを歩いたのであった。
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
取巻の清五郎せいごろうは、芸者のおそでを相手に、引っきりなしにけんを打っておりました。貫兵衛の義弟で一番若い菊次郎きくじろうは、それを面白いような苦々しいような、形容のしようのない顔をして眺めております。