深情ふかなさ)” の例文
芦簾あしすだれの雪を払って、家へ入って来るなりそう呼んだ。ところが兄は見えず、出て来たのは、いつもの深情ふかなさけなあによめの金蓮だけ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いわゆる悪女の深情ふかなさけと称するのであろうと、かなり面皮めんぴの厚い孫兵衛も、ふたりの手前、処女みたいに赤くなったが、「う……なに、今少々、せぬ女について、問いただしているところなんだ」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)