淡黄色たんこうしょく)” の例文
そこに残った淡黄色たんこうしょくの水をいと興深げに眺めていたが、こんどは何思ったものかその水を指先につけて、卓子テーブルの上に伸べてあった漫画の水兵の紙面へポタポタとたらし
流線間諜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
時々読みかけてある本の上によだれをたらしている。彼は胃弱で皮膚の色が淡黄色たんこうしょくを帯びて弾力のない不活溌ふかっぱつな徴候をあらわしている。その癖に大飯を食う。大飯を食ったあとでタカジヤスターゼを飲む。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
助手がさきほども、駝鳥だちょうのような卵といったが、全くそれくらいもあろう。色は淡黄色たんこうしょくで、ところどころに灰白色かいはくしょく斑点はんてんがあった。それは何の卵であるか、ちょっと判りかねた。
(新字新仮名) / 海野十三(著)
これはなんと水々しくいあげた桃割ももわれに、紫紺しこんと水色のすがすがしい大柄の絽縮緬ろちりめんの着物に淡黄色たんこうしょくの夏帯をしめた二十歳はたちを二つ三つ踏みこえたかと思われる純日本趣味の美女がいた。
省線電車の射撃手 (新字新仮名) / 海野十三(著)