淡泊さっぱり)” の例文
「たくさんじゃないわよ。ちょっと伺いたいから伺ったんだから、正直に淡泊さっぱりとおっしゃいよ」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「しかしこんな稼業の者にはめずらしい正直な淡泊さっぱりした江戸児風の男で、御用をかさに着て弱い者をいじめるなどという悪い噂はかつて聞いたことがなかった。彼は誰に対しても親切な男であった」
半七雑感 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
この酒はどんなたちで、どう口当りがして、売ればいくらくらいの相場で、舌触りがぴりりとして、あと淡泊さっぱりして、頭へぴんと答えて、なだか、伊丹いたみか、地酒じざけ濁酒どぶろくかが分るため
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかし彼らは兄妹きょうだいであった。二人共ねちねちした性質を共通に具えていた。相手の淡泊さっぱりしないところをあんに非難しながらも、自分の方から爆発するような不体裁ふていさいは演じなかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いえ、誠に陽気で淡泊さっぱりしてて、結構でございますねえ。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)