活栓かっせん)” の例文
全身をめぐって来た大静脈の血液を喞筒ポンプの中へ受取り、これを活栓かっせんによって大動脈に送り出すという極めて簡単な原理で人工心臓が出来上ります。
人工心臓 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
活栓かっせんと針を手早く添えて、中味の液体をシーソー式に動かすと、薬の残りを箱の中の瓶に返して、右手にアルコールをひたした脱脂綿と、万創膏ばんそうこうを持ちながら薬局を出て来た。
笑う唖女 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
彼女は、薬缶の口から、ポンプの活栓かっせんのところへ熱湯を注ぎこんで、ポンプの梃子てこを押しはじめた。この数日来そうしないと、活栓がすっかり円筒の中で氷りついていて、びくとも動かぬのだった。
誰が何故彼を殺したか (新字新仮名) / 平林初之輔(著)