洋妾らしやめん)” の例文
あの洋妾らしやめん上りの老婆ばあさんとは違つて、金はあつても壽命のない男だと見える。吾儕は斯の不幸な亭主の沈んで居るといふ洞を望んで通つた。
伊豆の旅 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
汗みづくになつて滝をき、山をき、鶴をき、亀をき、洋妾らしやめんのやうな観音様をき、神戸市長のやうな馬をきしてゐるうちに、到頭めまひがして自分にも判らぬやうな変な物をき出した。
洋妾らしやめんの長き湯浴ゆあみをかいま見る黄なる戸外とのもつばくらのむれ
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
二日の間の旅で、吾儕はこの馬丁と懇意に成つて、知らない土地のことを種々いろ/\と教へられた。この馬丁から、色男の爲に石碑を建てたとかいふ洋妾らしやめん上りの老婆ばあさんのことまで教へられた。
伊豆の旅 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
洋妾らしやめんめける雁来紅けいとう
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)