泣面なきづら)” の例文
「そんなことはどうでもいいッ。今に見ろ、わがフーラー博士は、きっときっと復讐をするぞ。その時になって泣面なきづらをするなッ。」
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
あけてくれるぞ。笑っとけ、畜生、笑っときやがれ! 一時間とたたねえうちに、手前らは笑う反対はんてえ泣面なきづらをかくんだ。死ぬ奴は運のいい奴だぞ。
「泣いてるな。これ貴様も、苗字帯刀みょうじたいとう許されの家に生れた男ではないか、泣面なきづらかかずといさぎよく申し上げてしまえ」
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
相憐あひあはれんで曰く泣面なきづらはちとは其れ之をふ乎と、午後五時井戸沢山脈中の一峯にのぼ露宿ろしゆくる、高四千五百尺、かへりみれば前方の山脈其中腹ちうふく凹所わうしよに白雪を堆くし、皚々眼を射る
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)