法外ほうがい)” の例文
かの女は咄嗟とっさの間に、おならの嫌疑けんぎを甲野氏にかけてしまった。そしてそのめに突き上げて来た笑いが、甲野氏への法外ほうがい愛嬌あいきょうになった。
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
押問答が正午まで続いた末、始めの言い値が三百両という法外ほうがいなところまであがって行って、とどのつまり隠居がしぶしぶながら首を縦に振ったのだった。
『彦兵衛も、奉行のことばによって、得心とくしんていにみえる。そちの借金は、あまり法外ほうがいな利息ゆえ、最前云うように利を下げてもらって、元金は、年割とし、以後とどこおりなく彦兵衛へ返済いたすように』
鍋島甲斐守 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
法外ほうがいのもうけかたをするのです。
ひすいの玉 (新字新仮名) / 小川未明(著)
父の法外ほうがいも、あの大次郎様も、この上の森かげのたった一軒の湯の宿——それも、宿屋とは名ばかりの藤屋で、夕餉ゆうげの膳を前に自分の帰りを待っているだけで
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)