およ)” の例文
若し舟中の人にして、或は浪に打ち揚げられ、或は自らおよぎ着きて、巖のはざまなどにあらんには、人に知られで飢渇の苦艱くげんを受けもやせん。
中にも利安は伊丹の町の銀屋をかたらつて、闇夜あんやに番兵を欺き、牢屋の背後の溜池ためいけおよいで牢屋に入り、孝高に面會した。
栗山大膳 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
およぐあり。1500
いざ客人、船を待ち給はんは望なき事なり。我馬の尾にすがりておよがんこともたやすからねば、鞍の半を分けて參らすべし。
その頃露伴が予にうには、君は好んで人と議論を闘わして、ほとんど百戦百勝という有様であるが、善くおよぐものは水におぼれ、善くるものは馬よりつるわけで、早晩いつか一の大議論家が出て
鴎外漁史とは誰ぞ (新字新仮名) / 森鴎外(著)
舟人打ち微笑ほゝゑみて、そは昔の名なり、三とせ前の事なりしが、獨逸の畫工二人ありておよぎて穴の内に入り、始てその景色の美を語りぬ、その畫工はフリイスとコオピツシユとの二人なりきと云ひぬ。