河音かわおと)” の例文
河音かわおとはうれしい響きではなかったし、宇治橋のただ古くて長いのが限界を去らずにあったりして、霧の晴れていった時には、荒涼たる感じの与えられる岸のあたりも悲しみになった。
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)
彼が父の病をいのるための御嶽おんたけ参籠さんろうを思い立ち、弟子でし勝重かつしげをも伴い、あの山里の中の山里ともいうべきところに身を置いて、さびしくきこえて来る王滝川の夜の河音かわおとを耳にした時だった。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
宇治の河音かわおととともに多くの涙が流れるのであった。
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)