水腫みずぶくれ)” の例文
「ほう? やっぱりほんとだったな、人間の頭がさけると言ったのは。でも、こりゃ水腫みずぶくれどころじゃない。こんな仕事じゃ、頭はコブだらけになってしまうだろう。」
イワンの馬鹿 (新字新仮名) / レオ・トルストイ(著)
上下一呼吸ひといきく間もあらせず、まなこ鋭く、ほおせてひげ蓬々ぼうぼうと口をおおい、髪はおどろ乱懸みだれかかりて、手足の水腫みずぶくれに蒼味を帯びたる同一おなじような貧民一群、いまだ新らしき棺桶かんおけを、よいしょと背負込しょいこ
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼は、鈍色にぶいろの光線が照り返っているレールに添うて淋しい野中の細道を見廻った時、彼の水腫みずぶくれのした体は、紺の褪めた洋服を着て、とぼとぼと歩くたびに力の入っていない両手は、無意識に動揺した。
(新字新仮名) / 小川未明(著)