水煙管みずぎせる)” の例文
小指の爪をおそろしく長くのばしてあるあるじ李鴻章りこうしょうは、赤い房のついている水煙管みずぎせるをくわえながら、花梨卓かりんたくひじをついて、女の顔の白さに、眼をほそめてた。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
龍頭瓶りゅうとうへいだの、ぎょくの文鎮だの、青貝の戸棚だの、大理石の硯屏けんびょうだの、剥製の雉だの、恐るべき仇英だのが、雑然とあたりを塞いだ中に、水煙管みずぎせるくわえた支那服の主人が
上海游記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
煙草のかん、いくつかのパイプ及び水煙管みずぎせる——ちなみに、この水煙管は船長が戦争に参加したというミルン氏の物語に少しく色をつけるが、その連想はむしろ当たらないらしい。
今日も今日とて、チャンウーが、店さきに坐って、スッパスッパと水煙管みずぎせるを吸っていた。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
岸をめぐれる槐柳かいりゅうのかげや前後の掛茶屋にいる人を見れば、水煙管みずぎせるを啣えたる老爺あり、双孖髻そうじけつに結える少女あり、兵卒と話している道士あり、あんず売りを値切っている婆さんあり
北京日記抄 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)