毛嫌けぎら)” の例文
旅で一緒に成った小竹は直ぐにも親しめそうな、人を毛嫌けぎらいするところの少い美術家で、誰にでも好かれそうな沈着な性質を見せていた。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
また精神上の潔癖家として無暗むやみに人を毛嫌けぎらいするものもある。あいつはオベッカ者だからとかあいつはウソきだとかいって、口もかぬ。
良人教育十四種 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
彼女は私を出て行かせたがつてゐるやうな、この女中には私や私の事情が分つてないやうな、私を毛嫌けぎらひしてゐるやうな氣がした。ダイアナとメァリーは日に一度か二度、部屋に姿を見せた。
傍屋はなれの常連の中で、どうしたわけかこの伯爵だけは、わたしの家にうまく取り入って、母のお気に入りだったのである。もっとも父は、この伯爵を毛嫌けぎらいして、無礼なほどの丁重さであしらっていた。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)