毒箭どくや)” の例文
ベルナルドオが毒箭どくやは痛く我胸を傷けしが、別に臨みて我に握らせたる手は、遂にわれ等が交情を滅するに至らずして止みぬ。
腕をえぐつて毒箭どくやの毒をぬかせた関羽くわんうもどきに、小生はぽかんと立つてぬつと両手を出して居れば、阿姪あてつが笑ひ/\縫い上げをなし終りぬ。シヤツの肩上げは済みたり。
燕尾服着初めの記 (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
ホーマーの詩「オヂツセー」の中には、ユリツシーズがアイラスに矢毒を要求することが書かれてあり、希臘神話の中にもパリスが毒箭どくやを放つてアキリーズを射殺すことが述べてある。
毒と迷信 (新字旧仮名) / 小酒井不木(著)
この一條の毒箭どくやは我渾身の血を濁して、人を殺せり友を殺せりといふ悔悟の情の頭をもたぐるをさへ妨げんとす。