歿年ぼつねん)” の例文
春琴、ほんとうの名は鵙屋琴もずやこと、大阪道修町どしょうまちの薬種商の生れで歿年ぼつねんは明治十九年十月十四日、墓は市内下寺町の浄土宗じょうどしゅう某寺ぼうじにある。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
菩提寺の過去帳に宮本家の血縁者の歿年ぼつねん戒名かいみょうなどを発見して、その写しを今もこの和尚が保存している筈ですが——というのであった。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三斎の歿年ぼつねんからせば、三回忌は慶安元年になるからである。そこで改めて万治元年十三回忌とした。興津が長崎にったのは、いつだか分からない。
そのは元祖清信が歿年ぼつねん(享保十四年)の頃より寛延かんえん三年の頃まで続いていでしが故に、時として元祖清信の作と混同しておおい今日こんにちの研究者を苦しましむ。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)