“死物”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
しぶつ62.5%
しにもの37.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
空虚にしてしまふものだから、死物しぶつになるも同樣、さ。死物の膽力とか、不動心とか云ふのは、ただ物に感じない無神經の虚飾に過ぎない。
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
そうした凄愴せいそうな空気の中で、法水は凝然とまなこを見据え、眼前の妖しい人型ひとがたみつめはじめた——ああ、この死物しぶつの人形が森閑とした夜半の廊下を。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
ハハハハハハハハ、わしの獲物は——川村義雄という一匹の鼠は、鼠とりの網の中で死物しにもの狂いにあばれ廻っていた。
白髪鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
たがい死物しにものぐるいの格闘をつづけ、机をひっくりかえし、書類箱を押したおしているうちに、どうしたはずみか、ピストルが星宮理学士の手許をはなれ、ガチャンと音をたてて
恐しき通夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)