死去なくな)” の例文
母親かあさんが早く死去なくなり、お父親とうさん一人きりになっている、その大切なお父親とうさんの側に坐り込み、耳を澄ますのを習慣としていた。
猿ヶ京片耳伝説 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
縫「有難う存じます、その親も死去なくなりました、其の跡は職人が続いて法事をいたして、石塔やなんかを建てたいという心掛なので」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
かねて平田に写真を見せてもらッて、その顔を知ッている死去なくなッたおッかさんも時々顔を出す。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
段々それが嵩じてきたので、嫂さんが死去なくなると間もなく、モニカ嬢を連れて、南アフリカのナタールへ逃げていったのです。ルグナンシェはそれで始終ガスケルさんの後を追い廻していたのですよ。
日蔭の街 (新字新仮名) / 松本泰(著)
縫「親元は本郷春木町三丁目でございます、指物屋の岩吉と申します、其の娘の菊ですが、その菊が死去なくなりましたんで」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
何かと世話のないように髪の毛だけでも江戸の親元へ参れば宜しゅうございますから、ことに当人は火葬でも土葬でもいと遺言をして死去なくなりましたから
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
久留島さまと少々御縁引ごえんびきであるから、おらほうへ来るがえと引取られてるんだそうだが、御亭主も妹も去年お死去なくなりなすって、久留島さまが引取って、小せえうち這入へい
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)