止所とめど)” の例文
女の顔を伝わって、涙が止所とめどもなく流れる。とうとう女は声を立てた。その時病人が動いた。女は急いでハンカチイフでほおいた。
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
そのうちわたしの上の部屋に住んでゐる学生が、あのピツコロと云ふ小さい横笛を吹き始めました。するとわたしは止所とめどなしに吐きました。
(新字旧仮名) / グスターフ・ウィード(著)
そこには夏服を着た子供が、強い光線の反射のやうに、止所とめどなしに緑のむれの前を飛び上がつたり又落ちたりしてゐる。それがうるさくてならない。ペエテルは眠りはしない。
老人 (新字旧仮名) / ライネル・マリア・リルケ(著)
波の止所とめどのないゆらめきにまだ酔っています。
止所とめどなく乱れ散る涙のしづく。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
褒めるにもそしるにも止所とめどがない。谷を遥に
お前達は止所とめどなく虚空を攫んで見てくれ。