欽慕きんぼ)” の例文
コゼットを愛するとともに欽慕きんぼし、その少女をもって、いっさいの光明とし、住居とし、家庭とし、祖国とし、天国としていたのである。
世界の尊敬と欽慕きんぼとに値するの大人とせば、その人はすなわちスミス、ワットの二氏ならざるべからず。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
いまだ見ぬ著者呉先生を欽慕きんぼする念の募りいたることは推するに決して難くはない。
呉秀三先生 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
されど、之等これらは要するに皆かれの末技にして、真に欽慕きんぼすべきは、かれの天稟てんぴんの楽才と、刻苦精進してはやく鬱然一家をなし、世の名利をよそにその志す道に悠々自適せし生涯とに他ならぬ。
盲人独笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
欽慕きんぼあまついに右の文字をもいしこくしたることならん。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
これ仏教者の共に欽慕きんぼすべきところでございましょう。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
彼らはふたりであり、互いに欽慕きんぼし合っており、ただそれだけのことにすぎなかった。その他のことはすべて存在しなかった。
これを要するにその一国を挙げて徹頭徹尾、ただ平民的の分子の結晶体ともいうべき一大現象に向かっては吾人が実に欽慕きんぼ嘆美おくあたわざるところなり。トクヴィル氏は曰く
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
しかし彼女は常に彼を愛していた、常に彼を欽慕きんぼしていた。火はしばしおおわれてくすぶっていた。しかし彼女は今はっきりと知った。火はただいっそう深く進んでいたのみである。