欠唇いぐち)” の例文
指が一本足りないこと、頭がまる禿げであること、片目、鼻っかけ、欠唇いぐちいざり……少し調子が狂えばもはや怪物だった。
幻の彼方 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
姫たち顔見合せて、「また欠唇いぐちのをこなるわざしけるよ。」とささやくほどに、なる笛の音絶えぬ。
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
姫たち顔見合せて、「また欠唇いぐちのおこなるわざしけるよ」とささやくほどに、なる笛の音絶えぬ。
文づかい (新字新仮名) / 森鴎外(著)
六つ七つのとき流行はやりの時疫にふた親みななくなりしに、欠唇いぐちにていとみにくかりければ、かへりみるものなくほとほとうえに迫りしが、ある日麺包パンの乾きたるやあると、この城へもとめに来ぬ。
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)