檻房かんぼう)” の例文
孔明は翌日、陣中の檻房かんぼうから、孟獲もうかく祝融しゅくゆう夫人、弟の帯来たいらい、また孟優にいたるまでを、珠数つなぎにして曳き出し、愍然びんぜんと打ちながめて
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
須山や伊藤たちの出入りしているTのところへ、彼と檻房かんぼうが一緒だった朝鮮の労働者がレポを持ってきたので、始めて分った。
党生活者 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
彼は部屋にもどっていろいろと片づけ物なぞしながら、檻房かんぼうの方に孤坐こざした時の自分のこころもちを思いかえした。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
或る夕方、女房は檻房かんぼうの床の上に倒れて死んでいた。それを見附けて、女の押丁おうていが抱いて寝台の上に寝かした。その時女房の体が、着物だけの目方しかないのに驚いた。
女の決闘 (新字新仮名) / 太宰治(著)
そしてその辺一帯を「何々」組の何々というようなグレ(不良)が横行していた。ところが「フウテンのゴロ」というのが脅迫罪でN署に引っ張られたとき、檻房かんぼうで偶然太田と一緒になった。
党生活者 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)