檜材ひのきざい)” の例文
寶冠はうくわんだけでも、首だけでもいゝから此場で彫つて見ろ——と、檜材ひのきざいのみを突きつけたこともあるさうで御座います。
そして、その大黒さまを作る材であるが、それは、檜材ひのきざいである。日本橋の登る三枚目の板が大事にされたもの……王城の地を中心にして京を上としてある。
「楠木氏の菩提寺の中院ちゅういんは、あの辺です」と、永島住職が指さす。水は見えないが、崖下は金剛山の西麓からくる石見川である。奥からは、良質な檜材ひのきざいが出る。
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「つづいてよいのは檜材ひのきざい、それから松を使います」
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「ずつと前から十二三本杉丸太のあつた上へ、三日ほど前荷が入つたので、ほんの間に合せに杉丸太を下敷にして檜材ひのきざいを五六十本積みましたが、それがお氣に召したさうでへエ——」
「ずっと前から十二三本杉丸太のあった上へ、三日ほど前荷が入ったので、ほんの間に合せに杉丸太を下敷にして檜材ひのきざいを五六十本積みましたが、それがお気に召したそうで、ヘエ——」
手に取ったのは、素木しらきに彫った普賢菩薩ふげんぼさつ像、台から仏体まで、せいぜい一尺二三寸もあるでしょうか。毛ほどの顔料も用いない、全くのうぶな檜材ひのきざいですが、少し荒いタッチで、のみの跡が匂うばかり。
檜材ひのきざいのみを突きつけたこともあるそうでございます。