機巧きこう)” の例文
人間の社会もこのくらい有機的になって、全系統の生理に有害なものを自働的に駆逐くちくするような機巧きこうが具わっているといいと思う。
柿の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
もっとも、個々の現象は複雑無限であって、その機巧きこうは到底わからないが、そういう現象が非常にたくさんかさなり合って、全体として一つの現象を示すことがある。
例えば春さき雪がなかなか融けないために作付さくづけが遅れるとか、寒国地方で水田の水温が低いために冷害の厄をこうむるとかいうような問題は、もちろん天候に起因しているのであるが、機巧きこうを見れば
硝子を破る者 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)