橙黄色だいだいいろ)” の例文
燈心に花が咲いて薄暗くなった、橙黄色だいだいいろの火が、黎明しののめの窓の明りと、等分に部屋を領している。夜具はもう夜具葛籠つづらにしまってある。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
と燈火の光なのであろう、橙黄色だいだいいろのほのかな光が、以前まえのようにすぐに眼に映り、つづいてその中に浮いている白い女の顔が見えた。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と、最初に見えたのは橙黄色だいだいいろの燈火の光で、つづいて橙黄色の光の中に、夕顔の花を想わせるような、ぼっと白い女の顔であった。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
突き出されてできている一軒の部屋から華やかな燈火の橙黄色だいだいいろの光が、雨戸を閉ててない障子一面に、えて鈴江の眼にうつった。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
帳内なかで灯っている燈の光で、橙黄色だいだいいろに見える紙帳が、武士の姿を朦朧もうろうと、その紙面おもてへ映し、暗い部屋の中に懸かっている。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その中央なかほどに、紙帳しちょうが釣ってあり、燈火ともしびが、紙帳の中に引き込まれてあるかして、紙帳は、内側から橙黄色だいだいいろに明るんで見え、一個ひとつの人影が、そのおもてに、朦朧もうろうと映っていた。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と、行く手の空に高く、燈の光が橙黄色だいだいいろに見えた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)