くれ)” の例文
「信用をとるには、仕事を急ぐな、くれを充分に乾かせ。それが一ばんの秘伝や奥伝じゃ。しかし持って生れた器用不器用はこれ、しかたがないがな」
(新字新仮名) / 壺井栄(著)
くれと称するひのきや杉の木の四つわりを、円周にそうた線で厚く竪にわり、それをけずってまるい形につなぎあわせ、そとからかつらや竹の輪でしめつけて、底を入れたものが今日こんにちの桶でありたるであるが
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
松の間にここだくれ積む洲の土手は行けどもさびし不二の見えずて
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
仕事の合間には、一と昔前のほこりをかぶっているくれの束も出してきて小さい桶や、おひつや、ふたつきの魚舟うおぶねを作った。すしはんぼや、可愛らしい握りの手桶をこしらえた。
(新字新仮名) / 壺井栄(著)
蓮の葉の水に影おとすうしろには低き土橋どばしありてくれの橋桁
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)