楽師がくし)” の例文
旧字:樂師
「この小さな楽師がくしさんは、雌牛めうしが聞きたいというのだ。たいへん大きなやつでなくて、ごくじょうぶで、ちちをたくさん出すのだそうだ」
三人の楽師がくしが狭いので壁の上方の差出しの窪みに追い上げられ、そこにおさまって必死になって景気をそえて居た。其の窮屈そうな様子は燕の巣へ人間を入れたようだった。
巴里祭 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
興行場の看板の下の棚の上にはけばけばしい服装をした楽師がくしたちが押合って身づくろいをしている。われわれは藤村の指揮するままに場内に入って、しばらくのあいだ、玉乗の技をおとなしく見る。
「あの小さい子は、つかれきっていますわ。さあ、みんな楽師がくしたちにやるご祝儀しゅうぎをね」