業縁ごうえん)” の例文
そのはからいの業縁ごうえんが尽きましたときに、そのはからいというものがやみまして、そのときに私は耳鳴りというものから救われた。
生活と一枚の宗教 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
今生の業縁ごうえんとなってむくわれぬというためしはございませぬ……十善の戒行かいぎょうしゅした報いが、今生において天子の位に登ると平家物語から教えられました
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
しかれども一人にてもころすべき業縁ごうえんなきによりて害せざるなり。わがこゝろのよくてころさぬにはあらず。
語られざる哲学 (新字新仮名) / 三木清(著)
そうしてこの衝動、本能こそは、我々をこの世に生み、数知れぬ祖先をこの世に生んだその業縁ごうえんである。しかもその数知れぬ祖先の衝動や本能は、現前の我々の衝動や本能を除いてどこに存在するか。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
はからいというものははからいの業縁ごうえんが尽きるまではやまないもので、それがやむとすなわち「あるがまま」が現われる。
生活と一枚の宗教 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
机竜之助のような業縁ごうえんもなく、お雪ちゃんのようにかしずいてくれる人もない御当人は、独去独来の道を一本の金剛杖に託して、飄然ひょうぜんとして一夜を白槽しらふねの湯に明かし
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
業縁ごうえんが尽きたときに、はかろうとする気なんかなくなったときに、はじめてはからいというものがなくなる。そこにあるがままという状態が現われるよりほかにない。
生活と一枚の宗教 (新字新仮名) / 倉田百三(著)