梧竹ごちく)” の例文
また明治年代に例を取れば、今でもまだとやかくいわれている梧竹ごちく翁の書などはそれこそ大した能書といわねばならないことになる。
現代能書批評 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
私は地図を書いてもらって徒歩で其処にたずねて行った。二階の六畳一間で其処に中林梧竹ごちく翁の額が掛かっていて、そこから富士山が見える。私は富士山をそのときはじめて見た。
三筋町界隈 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
毅堂が『薄遊吟草』所載の作中に「七月十日ひとり南檐なんえんス。涼風西ヨリ来リ梧竹ごちく蕭然しょうぜんタリ。因テおもフ。余南中ニアルコトほとんど一年ト。悲ミ中ヨリ生ズ。一絶句ヲ賦シテ懐ヲ遣ル。」と題するもの及び「八月八日マサニ北総ニ遊バントス。鈴木彦之ニ留別ス。」
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
一六いちろく鳴鶴めいかくはもちろんのこと、三洲さんしゅう梧竹ごちく、いずれも書道の根本を弁えそこなった結果、方向を誤って、書は手先の能くする所と合点し、書道に筆ばかりをり減らしたものだ。